給湯器とは、家庭の蛇口やシャワー、キッチンなどに温かいお湯を供給するための設備です。
水道から引き込んだ水をガス・電気・灯油などのエネルギーで温め、必要なときに必要な量のお湯を出せるようにします。
ひとくちに給湯器といっても、燃料の種類や仕組みによっていくつかのタイプに分かれるのが特徴です。
設置場所や設置方式にも種類があり、マンションと戸建てでは選べる方式が異なる場合があります。
また「号数」と呼ばれる能力の単位があり、世帯人数や使い方に合った号数を選ぶことが重要です。
以下では、給湯器の基礎知識として「種類」「設置方式」「号数」「自分の給湯器の確認方法」「マンションでの注意点」の順に解説します。
まずは自分の家の給湯器がどのタイプか、種類から一緒に確認していきましょう。
- 給湯器は水をお湯に変えて供給する設備で、ガス・電気・灯油などのタイプがある
- 能力は「号数」という単位で表され、世帯人数に応じた目安がある
- 設置方式(屋外壁掛け型・据置型・PS設置)は交換時に踏襲されるのが基本
- マンションでは管理規約により号数変更が制限されている場合がある
給湯器の種類
給湯器は主にエネルギー源によって、次のように分類されます。
ガス給湯器・エコジョーズ
都市ガスまたはプロパンガスで水を瞬時に加熱してお湯を供給するタイプです。
初期費用が比較的安く、設置スペースもコンパクトで済むことが特徴とされています。
都市ガスとプロパンガスのどちらが使えるかは供給エリアによって決まります。
プロパンガスは都市ガスに比べて、コストが割高になる傾向があるとされています。
このうち「エコジョーズ」は排気熱を再利用する潜熱回収技術を採用した省エネタイプで、従来型よりガス消費量を抑えられるとされています。
一方で、エコジョーズは従来型よりも設置スペースがやや大きめに必要です。
排気とあわせて出る「ドレン水」を処理する配管工事が追加で必要になるとされています。
エコキュート(電気・ヒートポンプ式)
大気中の熱をヒートポンプで集めてお湯を沸かし、タンクに貯めておくタイプです。
電気を熱源としますが、大気熱を利用する分、少ない電力でお湯を作れるとされています。
夜間電力を活用しやすいこと、災害時にタンク内の水を利用できることなどが特徴として挙げられます。
設置には、お湯を沸かす「ヒートポンプユニット」と、お湯を貯めておく「貯湯タンク」の2つの機器が必要です。
貯湯タンクの容量は370L・460L・550Lといった段階で用意されており、世帯人数や湯量の使い方に応じて選ぶ形になります。
寒冷地向けには、凍結予防ヒーターや自動でポンプを動かして凍結を防ぐ機能を備えた機種も用意されているとされています。
石油給湯器(エコフィール)
灯油を燃料とするタイプです。
排熱回収型の「エコフィール」は熱効率を高めた省エネ仕様とされています。
寒冷地でも安定して使えるといわれる一方、灯油タンクの設置スペースや給油の手間がかかる点はデメリットです。


どのタイプを選ぶかは、燃料の供給状況(都市ガス・プロパンガス・電気・灯油のうち何が使えるか)や、次に説明する設置スペースの条件によっても変わってきます。
給湯器の設置場所・設置方式
給湯器には、設置される場所や方式によっていくつかのタイプがあります。
屋外壁掛け型
建物の外壁に給湯器本体を直接取り付ける方式です。
戸建て住宅で広く使われています。
据置型
地面やベランダの床面などに給湯器本体を据え置く方式です。
壁掛けが難しい場所や、大型の機種で使われることがあります。
PS(パイプシャフト)設置型
マンションなど集合住宅の共用配管スペース(パイプシャフト)内に設置する方式です。
専用の扉(点検口)越しに操作・メンテナンスを行います。
設置方式は建物の配管構造によって決まっているものです。
そのため故障や寿命による交換の際は、基本的にそれまでと同じ設置方式を踏襲するのが一般的な考え方とされています。
設置方式そのものを変更する場合は、配管や外装の追加工事が必要になることがあります。
この点は、次の「号数」の変更を検討する際にもかかわってくるため、あわせて確認しておくとよいでしょう。
なお、PS設置型のうち「PS標準型」「PS前排気型」と呼ばれるタイプは、高効率タイプ(エコジョーズ)のドレン水処理が難しいとされています。
そのため、従来型の機種が設置されていることが多いとされています。
つまり、マンションでPS設置型を使っている場合、前章の「エコジョーズ」に交換したくても、設置方式の制約でそのままでは難しいケースがあるということです。
この場合は、業者に相談したうえで対応可否を確認する必要があります。
給湯器の「号数」とは
給湯器のカタログや本体表示でよく見る「16号」「20号」「24号」といった数字は、「号数」と呼ばれる給湯能力の単位です。
号数とは「水温+25℃のお湯を1分間にどれだけ出せるか」を、リットル単位で表したものです。
たとえば24号であれば、1分間に24リットルのお湯を出せることを意味します。


号数が大きいほど、複数箇所で同時にお湯を使っても能力に余裕が出ます。
号数の目安は、世帯人数によって次のように案内されています。
- 16号: 1〜2人世帯向け。シャワーのみの利用が中心の場合に適するが、冬場に複数箇所で同時に使うと能力が不足する場合がある
- 20号: 2〜3人世帯向け。夫婦2人暮らし程度なら快適だが、3箇所同時使用では能力を超える可能性がある
- 24号: 3〜5人世帯向け。浴室・キッチン・洗面所を同時に使っても対応しやすいとされる
号数選びに迷ったら、まずは今使っている給湯器と同じ号数を選ぶのが無難です。
生活スタイルが大きく変わっていなければ、同じ号数で困るケースは少ないとされています。
なぜ複数箇所の同時使用で号数の余裕が必要になるかというと、号数は「同時に出せるお湯の合計量」の目安だからです。
たとえばシャワーを1つ使っている状態でキッチンの蛇口からもお湯を出すと、給湯器はその両方に同時にお湯を送る必要があります。
1か所だけの使用なら余裕がある号数でも、複数箇所を同時に使う家庭では状況が変わります。
その分だけ余裕のある号数を選んでおくことが安心につながるとされています。
号数を上げる場合は前述のとおり配管工事が必要になることがありますが、号数を下げる場合にも注意が必要です。
世帯人数が減った、あるいは費用を抑えたいという理由で号数を下げると、複数箇所での同時使用時にお湯の出が悪くなることがあります。
号数を下げるかどうかは、普段の同時使用状況を踏まえて判断するとよいとされています。
なお、実際の出湯量は配管条件や給水圧・給水温によっても変わるため、上記はあくまで目安として捉えてください。
号数に迷ったときは、今の給湯器と同じ号数を選んでおけば大きな失敗は少ないですよ。
自分の給湯器の号数・型番を確認する方法
交換や修理の相談をする際は、まず自宅の給湯器の型番・号数を確認しておくと、業者とのやり取りがスムーズになります。
型番は本体に貼られた銘板(シール)で確認できます。


手順1: 設置方式を確認する
前章の「屋外壁掛け型」「据置型」「PS設置型」のどれに該当するか確認します。
PS設置型の場合は、点検口を開けてから次の手順に進みます。
手順2: 銘板の位置を確認する
リンナイ製の場合、型番は本体正面のシールに記載されている仕様です。
ノーリツ製は、標準型であればフロントパネル、小型の機種では本体側面に銘板があるとされています。
メーカーによって位置が異なるため、両方の場所を確認するとよいでしょう。
手順3: 型番を読み取る
型番はアルファベットと数字の組み合わせで表示されます(例: リンナイ製で「RUF-A2400AW」のような表記)。
数字の部分に号数に対応する数字が含まれていることが一般的ですが、正確な号数は型番だけで判断せず、銘板に号数そのものの記載がないかもあわせて確認してください。
手順4: 確認時の注意点
銘板を確認する際は、無理に本体を動かさないでください。
水漏れ・破損箇所がある場合は、素手で触れないことが大切です。
異常が見られる場合は、型番確認よりも安全確保を優先し、必要に応じてガス・電気の元栓や供給を止めたうえで業者に相談してください。
銘板が汚れて読み取りにくい場合や、高所・狭所にあって確認が難しい場合もあります。
そうしたときは無理に近づかず、給湯器を購入した販売店や設置工事を行った業者に問い合わせる方法もあります。
工事完了時の保証書・工事証明書が手元にあれば、そこに型番が記載されていることもあるため、あわせて確認するとよいでしょう。
マンション・集合住宅の給湯器で知っておきたいこと
マンションなど集合住宅に設置されている給湯器については、戸建てとは異なる注意点があります。


まず、マンションでは管理規約によって給湯器の号数変更が制限されている場合があります。
号数を上げると建物全体のガス供給能力に影響することがあるためです。
交換の際に号数アップを希望する場合は、事前に管理会社や管理組合に確認しておく必要があります。
また、PS(パイプシャフト)と呼ばれる専用スペースに設置されているタイプの給湯器は、号数を上げる際に扉の加工など追加の工事が必要になることがあります。
経年劣化にともなう交換の場合は、同じ号数のまま交換するのが基本的な考え方として案内されています。
マンションで号数を上げたい場合は、まず管理会社・管理組合に確認しましょう。
管理規約によっては号数変更ができないことがあります。
よくある質問
- 給湯器の寿命はどのくらいですか?
-
使用環境や機種によって差があるため、ここでは一律の年数を断定しません。
交換の目安については、別記事で詳しく解説する予定です。 - 自宅の給湯器の号数・型番はどこで確認できますか?
-
給湯器本体に貼られている銘板(型番シール)に記載されていることが一般的です。
設置方式や銘板の位置はメーカーによって異なるため、前章「自分の給湯器の号数・型番を確認する方法」の手順を参考にしてください。 - マンションでも号数を上げることはできますか?
-
管理規約や建物のガス供給能力によって可否が異なります。
号数を上げたい場合は、まず管理会社・管理組合に確認することをおすすめします。 - 給湯器の設置方式(壁掛け・据置・PS設置)は自分で選べますか?
-
既存の配管や設置スペースに依存するため、交換の際は基本的にそれまでと同じ設置方式が踏襲されます。
方式そのものを変更したい場合は、追加の工事が必要になることがあります。 - ガス給湯器とエコキュートはどちらがよいですか?
-
一律にどちらが優れているとは言えません。
使用できる燃料(都市ガス・プロパンガス・電気)や設置スペース、電気・ガスの料金プランによって向き不向きが異なります。
それぞれの特徴は「給湯器の種類」の章を参考にしてください。
他にも気になることがあれば、上のよくある質問もあわせてチェックしてみてください。
まとめ
給湯器には、ガス給湯器・エコキュート・石油給湯器といった種類があり、それぞれ仕組みや特徴が異なります。
設置場所には屋外壁掛け型・据置型・PS設置型があり、交換の際は基本的に既存の方式が踏襲されます。
また「号数」という能力の単位があり、世帯人数に応じた目安を参考にすることが選び方の基本です。
自宅の給湯器の型番・号数は本体の銘板で確認でき、交換や修理の相談時に役立ちます。
マンションなど集合住宅では、管理規約による号数変更の制限に注意しておきましょう。
給湯器の交換費用や寿命の見極め方については、今後別記事で詳しく解説していく予定です。

