外壁塗装の助成金・補助金は「全国共通の制度」ではない
結論から言うと、外壁塗装だけを対象にした、全国どこでも使える助成金・補助金制度は2026年8月時点で確認できません。
「外壁塗装 助成金」と検索すると多くの情報が出てきますが、これは国の統一制度ではなく、自治体ごとに用意されている個別の制度を指していることがほとんどです。
まずは、国の制度と自治体の制度がどう違うのかを整理しておきましょう。
国の「住宅省エネ2026キャンペーン」は外壁塗装単体を対象にしていない
国土交通省・経済産業省・環境省の3省庁が共同で実施している「住宅省エネ2026キャンペーン」という補助事業があります。
柱になっているのは、次の3つの事業です。
1つ目は、躯体(床・壁・天井)の断熱改修を対象にした「みらいエコ住宅2026事業」です。
2つ目は、窓やドアの断熱改修を対象にした「先進的窓リノベ2026事業」になります。
3つ目は、高効率給湯器の設置を対象にした「給湯省エネ2026事業」です。
このうち外壁に関係するのは「みらいエコ住宅2026事業」ですが、公式サイトを確認すると、対象になるのは外壁の内側または外側に断熱材を新設する工事です。
外壁の塗料を遮熱塗料や断熱塗料に変えるだけの塗装工事については、対象と明記されていません。
つまり、外壁塗装そのものを目的にリフォームする場合、この国の制度だけでは補助を受けられない可能性が高いということになります。
使えるのは主に自治体独自の制度
国の制度で外壁塗装単体が対象にならない以上、費用負担を軽くする手段として検討することになるのは、市区町村や都道府県が独自に用意している補助金・助成金です。
ただし、こうした自治体独自の制度は、実施している自治体もあれば実施していない自治体もあり、内容も金額も統一されていません。
しかも、以前は制度があった自治体が、翌年度には対象から外している場合もあります。
次の項目で、実際に複数の自治体の公式サイトを確認した結果をもとに、この「年度によって変わる」という点を具体的に見ていきます。
自分の自治体で使える制度を確認する方法
自治体独自の補助金・助成金は、住んでいる地域によって「ある/ない」が分かれるだけでなく、同じ自治体でも年度によって内容が変わることがあります。
実際に、いくつかの自治体の公式サイトを確認したところ、以前は外壁塗装が対象だった制度が、翌年度には対象から外れているケースがありました。
制度の有無・条件は自治体によって異なり、年度でも変わる
参考として、3つの自治体の公式サイトで確認した内容を表にまとめました。
下表の内容は、各自治体の公式サイトを2026年8月15日時点で確認したものです。
制度は年度が変わるタイミングで内容が見直されることが多いため、実際に検討する際は最新の公式情報を確認してください。
| 自治体 | 外壁塗装の扱い(2026年8月確認時点) | 備考 |
|---|---|---|
| 世田谷区 | 令和8年度から対象外 | 令和7年度までは対象だったが、令和8年度の補助対象工事(窓の断熱改修・高断熱ドア・高断熱浴槽・屋根の高反射改修)から外壁塗装が外れた |
| 大阪市 | 対象外 | 窓の断熱改修を実施する場合に他の省エネ改修もあわせて補助対象になり得る制度があるが、外壁の塗装工事(断熱・遮熱塗装工事)は補助対象外と明記されている |
| 京都市 | 制度自体が廃止 | 令和3年度まで外壁の遮熱塗装を含む補助事業があったが、類似する国の補助事業があることを理由に令和4年度に廃止された |
この3自治体だけを見ても、「対象外になった」「もともと対象外」「廃止された」というように、外壁塗装単体への補助は縮小・廃止の方向に動いている例が目立ちます。
インターネット上の比較サイトの情報は、調査時点では正しくても、その後の制度変更が反映されていないことがあります。
自分の自治体に制度があるかどうかは、比較サイトの一覧だけで判断せず、自治体の公式サイトで最新の情報を確認するようにしてください。
去年まで使えた制度が、今年はなくなっている場合もあります。工事を決める前に、今年度の公式情報を確認しておきましょう。
調べる際の確認先とチェックポイント
自分の自治体に制度があるかどうかは、「(自治体名) 住宅 リフォーム 補助金」「(自治体名) 外壁塗装 助成金」といったキーワードで検索し、自治体の公式サイト(市区町村のドメイン)にたどり着いて確認するのが確実です。
比較サイトや業者のコラム記事が上位に表示されることも多いですが、最終的な条件は自治体公式サイトの情報を優先してください。
制度が見つかった場合、以下のような条件が付いていることが多いです。
対象になる塗料の種類が指定されている(遮熱塗料・断熱塗料など)
市内・区内に本店や営業所がある業者への発注が条件になっている場合がある
予算に上限があり、申請が予算枠に達すると受付が終了する(先着順)
工事に着手する前に申請が必要で、着工後の申請は対象外になることが多い
特に、工事を始めてしまってから申請しても対象外になるケースが多い点には注意が必要です。
制度の利用を考えている場合は、業者に見積もりを依頼する段階で「補助金の申請予定があること」を伝え、着工前に申請の手続きを済ませておくとよいでしょう。
外壁塗装に火災保険が使える場合がある
「火災保険を使えば外壁塗装ができる」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
これは間違いではありませんが、条件を満たした場合に限られ、経年劣化による塗り替えには使えません。
どのような場合に対象になるのか、注意点とあわせて見ていきましょう。
火災保険が適用される条件・対象にならないケース
多くの火災保険には、火災だけでなく、台風・強風による「風災」、雹による「雹災」、雪による「雪災」、落雷といった自然災害への補償が含まれています。
外壁が台風の強風や飛来物によって破損した場合など、自然災害による突発的な損傷であれば、この補償の対象になる可能性があります。
一方で、経年劣化によるひび割れ・色あせ・チョーキング(外壁を触ると白い粉が付く現象)は、自然災害による損傷ではないため、火災保険の対象にはなりません。
また、損害が発生してから時間が経ちすぎると請求できなくなる時効があり、一般的には損害発生から3年以内とされています。
契約している保険の免責金額(自己負担額)を超える損害であることも条件です。
免責金額は契約によって0円・3万円・5万円・10万円など様々で、保険会社や商品によって設定が異なるため、正確な条件は自分の契約内容を確認する必要があります。
申請の大まかな流れとしては、被害箇所を写真で記録し、契約している保険会社に連絡したうえで、業者に依頼して見積書を取得し、必要書類を保険会社に提出、その後鑑定人による現地調査を経て保険金が支払われる、という順序になります。
台風など自然災害の直後は、実際に被害が確認できるうちに写真を残しておくと、後の手続きがスムーズに進むでしょう。


「火災保険で無料修理」の勧誘トラブルに注意
火災保険を使った修理をめぐっては、悪質な業者によるトラブルが報告されています。
独立行政法人国民生活センターは、保険金請求のサポートを名目に高額な手数料を求めたり、契約を強要したりする事業者について注意を呼びかけました。
日本損害保険協会にも、「災害を調査している」などと持ちかけて無料で修理ができると説明する業者に関する相談が継続的に寄せられています。
2010年度以降の累計相談件数は1万件を超える状況です。
保険金の請求は、本来契約者自身が保険会社に対して行うものです。
「保険が使えます」「無料で修理できます」と強く言い切って勧誘してくる業者や、経年劣化を自然災害の被害だと偽って申請するよう勧める業者には注意してください。
虚偽の申請は詐欺にあたる可能性があります。
火災保険が使えるかどうか気になる場合は、業者からの説明を鵜呑みにせず、まず契約している保険会社や代理店に直接問い合わせるのが確実です。
自然災害による被害の心当たりがあれば、保険会社に連絡したうえで、必要に応じて複数の業者から見積もりを取り、内容を比較しながら判断するとよいでしょう。
助成金や保険が使えない場合はリフォームローンも選択肢
自治体の助成金が使えない、火災保険の対象にもならないという場合、外壁塗装の費用を一括で用意するのが難しいこともあります。
その場合の選択肢の一つが、リフォームローンです。
リフォームローンには、大きく分けて「有担保型」と「無担保型」の2種類があります。
有担保ローンと無担保ローンの違い
有担保型は、自宅などの不動産を担保に入れて借り入れる方法です。
無担保型より低い金利で、まとまった金額を長期間にわたって借りやすいのが特徴ですが、担保設定のための審査に時間がかかり、抵当権設定の登記費用など別途費用がかかる場合もあります。
無担保型は、担保を必要としない分、審査が比較的早く、登記費用もかからないのが特徴です。
そのかわり、有担保型に比べて金利は高めで、借入限度額も小さくなる傾向があります。
比較サイトが示す2024年7月時点の目安では、無担保型は金利(変動)1.3%〜4.0%程度・借入限度額500万円〜2,000万円程度、有担保型は金利(変動)0.29%〜5.0%程度・借入限度額1,000万円〜1億円程度とされています。
| 有担保型 | 無担保型 | |
|---|---|---|
| 金利の目安 | 低め(変動0.29%〜5.0%程度) | やや高め(変動1.3%〜4.0%程度) |
| 借入限度額の目安 | 大きい(1,000万円〜1億円程度) | 小さい(500万円〜2,000万円程度) |
| 審査期間の目安 | 長め(2週間前後〜) | 短め(1〜2日〜1週間程度) |
| 担保・登記費用 | 必要 | 不要 |
金利や限度額は金融機関や時期によって変わるため、上の表はあくまで目安です。
実際に、ある銀行の無担保リフォームローンでは、資金使途に「屋根・外壁などの塗装資金」が明記されており、融資限度額は10万円以上1,000万円以内、返済期間は1年以上15年以内となっています。
外壁塗装だけであれば数十万円〜100万円台の借り入れで済むことが多く、無担保型でも十分にまかなえる金額であるケースが多いのが実情です。


業者提携ローンという選択肢もある
塗装業者の中には、特定の信販会社と提携したローンを案内しているところもあります。
業者経由で申し込める分、銀行に個別に申し込むより手続きが簡単な場合があるという位置づけです。
ただし、金利や条件は提携先ごとに異なる点に注意が必要です。
業者から提示されたローン条件だけで判断せず、銀行のリフォームローンなど他の選択肢とも金利・限度額・返済期間を比較したうえで検討することをおすすめします。
よくある質問
- 助成金・補助金と火災保険は同時に使えますか?
-
制度上、両方を併用できるケースはありますが、可否や条件は自治体・保険会社によって異なります。
自治体の助成金は「対象工事全体の費用」を基準に補助額が決まることが多いため、火災保険で一部費用がまかなわれる場合は、申請時にその旨を自治体の窓口に確認しておくと安心です。 - 自分の自治体に制度があるかは、どこで確認すればよいですか?
-
自治体の公式サイトで「(自治体名) 住宅 リフォーム 補助金」等のキーワードで検索し、市区町村のドメインのページで確認するのが確実です。
比較サイトの一覧情報は制度変更が反映されていないことがあるため、最終確認は自治体公式サイトで行ってください。 - 補助金の申請は工事が終わった後でもできますか?
-
自治体の制度の多くは、工事に着手する前の申請を必須としています。
工事を始めてから申請しても対象外になるケースが多いため、制度の利用を考えている場合は、業者に見積もりを依頼する段階で申請予定を伝え、着工前に手続きを済ませておく必要があります。 - 経年劣化による外壁のひび割れでも火災保険は使えますか?
-
使えません。
火災保険の風災・雹災・雪災等の補償は、台風や落雷など自然災害による突発的な損傷が対象です。
年月の経過によるひび割れ・色あせ・チョーキングなどの経年劣化は、自然災害による損傷ではないため対象外です。 - 「火災保険を使えば無料で外壁塗装できる」という業者の営業は信用してよいですか?
-
そのままは信用しない方がよいでしょう。
保険金の請求は本来契約者自身が保険会社に行うもので、高額な手数料を求めたり、経年劣化を自然災害の被害だと偽って申請させたりする悪質業者のトラブルが、国民生活センターや日本損害保険協会から報告されています。
火災保険が使えるかどうか気になる場合は、業者の説明だけで判断せず、契約している保険会社や代理店に直接確認してください。 - リフォームローンは有担保と無担保のどちらを選べばよいですか?
-
借りる金額や返済期間によって向き不向きが変わります。
外壁塗装だけであれば数十万円〜100万円台程度で収まることが多く、担保設定の手間がかからない無担保型で十分な場合が多いです。
他のリフォームとまとめて大きな金額を借りたい場合は、金利が低めの有担保型も選択肢になります。
複数の金融機関で金利・限度額・返済期間を比較したうえで判断するとよいでしょう。
制度を使っても、最終的な費用は見積もり比較で決まる
ここまで、外壁塗装の費用を抑える方法として、自治体の助成金・補助金、火災保険、リフォームローンの3つを見てきました。
外壁塗装単体を対象にした全国共通の助成金はなく、使えるかどうかは自治体・保険契約・借入条件によって変わります。
自分の自治体の制度は年度によって変わることがあるため、工事を決める前に最新の公式情報を確認してください。
制度を使う・使わないにかかわらず、外壁塗装そのものの費用相場を把握しておくことも欠かせません。
坪数別の費用目安や、費用に影響する要因については、以下の記事で詳しく解説しています。


助成金や保険で減らせる金額には限りがあり、多くの場合は自己負担分が残ります。
最終的な負担額を左右するのは、業者ごとに異なる工事費用そのものです。
複数の業者から見積もりを取り、内容を比較することが、費用を抑えるうえでもっとも確実な方法といえます。
制度を使えるかどうかを確認したら、次は複数の業者から見積もりを取って、実際の工事費用を比較してみましょう。
相見積もりの取り方や、比較する際のチェックポイントについては、以下の記事も参考にしてください。



