シロアリとは何か・自分で確認できる被害のサイン
シロアリは、木材や木質建材を餌にする社会性昆虫です。
公益社団法人日本しろあり対策協会によると、日本には22種のシロアリが生息していますが、建築物に被害を与える主な種はヤマトシロアリとイエシロアリの2種です。
近年は、乾材シロアリの仲間であるアメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリによる被害も増えているとされています。
シロアリ被害には、専門知識がなくても自分で確認できるサインがあります。
まずは、どんな種類のシロアリがいて、どんなサインに注意すればよいのかを整理します。
| 種類 | 主な分布 | 羽アリの発生時期 |
|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 北海道北部を除く日本全土 | 4〜5月の昼間(沖縄は2月、東北・北海道は6月頃) |
| イエシロアリ | 神奈川県以西の海岸線沿いの温暖な地域、千葉県の一部、南西諸島、小笠原諸島 | 6〜7月の夜、電灯に飛来する形で群飛 |
| アメリカカンザイシロアリ | 乾材シロアリの一種、被害が増加傾向 | 6〜9月にかけて昼間に複数回 |
| ダイコクシロアリ | 奄美大島以南 | – |
このように、シロアリの種類によって活動する地域や羽アリが飛ぶ時期が異なります。
自分の住んでいる地域にどの種類が生息しているかを知っておくと、注意すべき時期の見当がつけやすくなります。
自分でチェックできる被害のサイン(蟻道・食痕・空洞音)
日本しろあり対策協会は、専門業者でなくても確認できる発見法として、いくつかのポイントを紹介しています。
シロアリは光と乾燥を嫌うため、土を使って蟻道と呼ばれる通り道を作って移動します。
基礎コンクリートの表面、床下の束石まわり、土台の周辺などに、茶褐色の泥状のトンネルがついていないかを確認します。
- 蟻道: 基礎・束石・土台等についた泥状のトンネル。
- 食痕: シロアリは木材の軟らかい部分(早材)を好んで食べ、硬い部分(晩材)を残すため、木目に沿った特有の食べ跡が残ります。
- 空洞音: 被害を受けた木部をたたくと空洞音がしたり、ドライバー等が抵抗なく刺さったりすることがあります。
- 構造的な兆候: 被害が進行すると、柱の傾きや建具(ドア・引き戸等)の建付け不良として表れることがあります。
これらのサインは、床下や基礎まわりなど普段は見えにくい場所に現れることが多いため、気づいた時点である程度被害が進んでいる場合もあります。
床下点検口から目視できる範囲を確認することはできますが、床下全体や壁の内部までは自分で確認しきれません。
気になるサインがあれば、次の見出しで説明する専門業者による点検を検討する材料になります。

羽アリを見たら
羽アリの群飛は、シロアリが人前に姿を現す数少ない機会です。
上の表のとおり、ヤマトシロアリは4〜5月の昼間、イエシロアリは6〜7月の夜に電灯へ飛来する形で群飛します。
時期と時間帯が種によって異なるため、いつどんな状況で見たかを覚えておくと、後で業者に相談する際の手がかりになります。
なお、羽アリは家の中で見かけたものがすべてシロアリとは限らず、クロアリの羽アリと似ていることがあります。
自分で種類を正確に見分けることが難しい場合は、可能であれば羽アリを数匹保管しておくか写真を撮っておくと、業者が判断する際の参考になります。
蟻道や羽アリなど、気になるサインを見つけたら、まずは落ち着いて場所と時期を記録しておきましょう。その場で駆除剤をまいてしまうと、被害の範囲を確認しにくくなることがあります。
シロアリ対策を後回しにしないほうがよい理由
シロアリ被害は、見た目の変化が小さいうちは気づきにくいという特徴があります。
ただし、木部の食害は建物を支える構造部分に関わることがあり、また制度面でも防蟻に関する規定があります。
ここでは、なぜ早めに状況を確認しておいたほうがよいのかを、感覚的な不安ではなく制度・法令の観点から整理します。
建築基準法上、土台等の防蟻措置が定められている
建築基準法施行令第49条第2項では、構造耐力上主要な部分である柱・筋かい・土台のうち、地面から1メートル以内の部分についての規定があります。
有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じてしろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならないと定められています。
つまり、木造住宅の土台まわりは、法令上もともと防腐・防蟻への配慮が求められている部分です。
この規定は、新築時の設計・施工の基準であり、シロアリ被害が見つかったら即座に法令違反になるという意味ではありません。
ただし、土台や柱といった構造耐力上主要な部分がもともと防腐・防蟻を意識してつくられているという点は、シロアリ被害を軽視できない理由のひとつになります。
住宅の資産性・売却時の技術基準との関わり
住宅金融支援機構が運営する「フラット35」の中古住宅の技術基準でも、木造住宅の土台の防腐・防蟻措置が確認項目のひとつになっています。
公式情報によると、耐久性の高い樹種(ひのき・ひば等)を使った無垢材・集成材の使用、またはJAS規格の保存処理材(K3相当以上)の使用のいずれかを満たすことが求められています。
図面等で確認できない場合は、床下等での現地目視確認によって腐朽・蟻害がないことを確認する方法もあるとされています。
シロアリ被害があると住宅ローンの審査にそのまま影響するとは言い切れません。
ただし、中古住宅の技術基準のひとつとして土台の防腐・防蟻の状態が確認対象になっている制度があることは知っておく価値があります。
将来的に住宅を売却する可能性がある場合や、フラット35等の利用を検討している場合は、こうした技術基準の存在も踏まえておきましょう。
早めに床下の状態を把握しておくと安心材料になります。
以上のように、シロアリ対策が重要とされる理由は、感覚的な不安からではありません。
建物を支える構造部分への影響や、中古住宅としての技術基準への関わりという、具体的な制度上の根拠にもとづいています。
次の見出しでは、実際にどのような流れで対策を進め、費用はどのように決まるのかを見ていきます。
防除・駆除の一般的な流れと費用の考え方
シロアリ対策と一口に言っても、実際の対応は「点検」「施工」「再処理」という段階に分かれます。
ここでは、日本しろあり対策協会が示す防除方法の考え方をもとに、一般的な流れと、費用がどのような要因で変わるのかを整理します。
点検→施工→再処理という一般的な流れ


最初に床下点検を行い、蟻道や食害の有無、床下の湿気・換気の状態を確認します。
被害や侵入経路が確認された場合、あるいは予防目的の場合は、次のいずれか(または組み合わせ)の方法で施工が行われます。
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| 土壌処理 | 基礎の内側や束石の周囲等、シロアリが通過するおそれのある土壌に薬剤を処理し、侵入を防ぐ層をつくる方法。 |
| 木部処理 | 木材表面に薬剤を噴霧・刷毛塗りするか、木部に穴をあけて薬剤を注入する方法。 |
| ベイト工法 | 薬剤を混入した餌(ベイト剤)をシロアリに摂食させ、巣ごと駆除するシステム。従来の散布工法に比べて薬剤の使用量が少ない閉鎖系の方法とされる。 |
協会の防除施工標準仕様書では、5年を目途に再処理を行うことが目安として示されています。
現在使われている薬剤は、環境への配慮から一定期間で効果が薄れるよう設計されています。
施工から年数が経っている場合は、効果が続いているかどうかも点検で確認しておきたい点です。
また、施工は協会が認定する「しろあり防除施工士」が担う仕組みがあり、依頼先を選ぶ際の確認材料のひとつになります。
費用を左右する主な要因
シロアリ対策の費用については、外壁塗装や屋根修理のような、公的機関や業界団体が公表している統一的な相場データが見当たりません。
そのため、ここでは金額の目安を断定するのではなく、費用を左右する要因を整理します。
- 施工面積: 床下の面積が広いほど、薬剤や作業時間が増えます。
- 床下の状態: 湿気が多い、束石の配置が複雑、配管が入り組んでいる等、作業のしやすさによって工数が変わります。
- 選ぶ工法: 土壌処理・木部処理・ベイト工法のどれを選ぶか、組み合わせるかによって、使用する薬剤・資材の量や作業内容が変わります。
- 被害の進行度合い: すでに木部の交換が必要なほど被害が進んでいる場合は、防除工事とは別に補修・補強の費用が加わることがあります。
- 保証・再処理の内容: 施工後の保証期間や、期間内の再点検・再処理が費用に含まれているかどうかも、業者によって条件が異なります。
これらの条件は、実際に床下を見なければ正確に判断できません。
複数の業者に床下点検をしてもらい、どの要因がどの程度費用に影響しているのかを見積書で確認することが、費用感をつかむうえで実務的な進め方になります。
次の見出しでは、複数業者に相談する際の注意点を具体的に見ていきます。
相見積もりが重要な理由と契約前に注意したいこと
シロアリ対策は業者によって提案する工法や金額が異なるため、1社だけの見積もりで判断すると、その内容が妥当かどうかを比べる基準を持てません。
複数の業者から見積もりを取り、金額だけでなく提案内容・保証・再処理の条件まで比較することが、基本的な進め方になります。
訪問による点検商法への注意
国民生活センターは、害虫・害獣駆除サービスに関する消費生活相談が寄せられているとしています。
契約前に複数の業者から見積もりを取ること、料金体系や作業範囲を事前に書面で確認すること、その場で契約を急がされても一度持ち帰って検討することを助言しています。
「無料点検」をきっかけに突然訪問し、床下を見て不安をあおって高額な契約を迫る、いわゆる点検商法の手口は、リフォーム工事全般でも繰り返し報告されています。
国民生活センターに寄せられるリフォーム工事の訪問販売・点検商法の相談では、屋根や外壁など見えにくい部分の劣化を指摘するケースが典型例として紹介されています。
不安をあおる説明とともに、その場での契約を迫られることもあるとされています。
シロアリ対策でも、床下という見えにくい部分を扱うため、同様の手口に注意が必要です。
また、リフォーム工事では、高額な前払い金を支払った後に業者と連絡が取れなくなったという相談も寄せられています。
対策としては、支払いを工事の進捗に応じた分割払いにすること、契約内容を書面で残すこと、支払い前に業者の実在性や実績を確認することが有効とされています。
訪問販売でその場で契約した場合のクーリング・オフ
見積もりや点検のために自宅を訪問してもらい、その場で契約してしまうこともあります。
契約の形態によっては、特定商取引法上の「訪問販売」に該当します。
消費者庁の公式情報によると、この場合、法律で定められた書面を受け取った日から8日以内であれば、クーリング・オフによって契約を解除できます。
この8日間の期間内であれば、契約書にサインした後でも、クーリング・オフができます。
契約から日が浅い場合は、あきらめずに消費生活センターへ相談することを検討してください。
不明な点がある場合は、消費者ホットライン(188)から最寄りの消費生活センターに相談できます。
その場で契約を急かされたときほど、一度持ち帰って複数社の見積もりと比較する時間を取ることが大切です。床下の状態は逃げていきません。
業者に確認しておきたいこと・一括見積もりサービスの活用
ここまで見てきたとおり、シロアリ被害は自分で確認できるサインがある一方、床下全体や被害の程度は専門業者の点検でなければ正確に把握できません。
実際に業者へ相談する段階では、見積もりの金額だけでなく、次のような項目を確認しておくと、あとからの認識違いを避けやすくなります。
見積もり・点検を依頼する前に確認しておきたい項目
複数の業者に相談する際は、以下の項目が見積書・説明に含まれているかを確認しておきましょう。
- 点検の結果(蟻道・食害の有無、被害箇所)を写真等で具体的に説明してくれるか
- 施工範囲(床下全体か、被害箇所周辺のみか)
- 採用する工法(土壌処理・木部処理・ベイト工法等)とその理由
- 使用する薬剤の種類と、しろあり防除施工士等の資格保有者が施工するか
- 保証期間と、保証内容(再発時の再処理が含まれるか)
- 再処理・再点検の目安時期(協会の標準仕様書では5年が目安)
- 支払い条件(前払いの有無、分割のタイミング)
見積書に「シロアリ駆除一式」とだけ書かれている場合は、内訳の内容を業者に確認しておくと安心です。
複数の業者に同じ状況を伝えて見積もりを依頼すれば、金額だけでなく、点検結果の説明の丁寧さや、質問への回答の具体性も比較しやすくなります。
こうした確認や比較を1社ずつ行うのは手間がかかります。
複数の業者へまとめて見積もり・相談を依頼できる一括見積もりサービスを使うという方法もあります。
「タウンライフリフォーム」は、シロアリ対策・駆除に特化した一括見積もり相談のフォームを提供しています。
公式サイトによると、物件の所在地や被害の状況等を入力する仕組みになっており、複数のシロアリ対策業者に一括で見積もり・相談を依頼できると説明されています。
床下の状態が気になっていて、まず複数社の点検内容や提案を比較してみたい場合は、こうしたサービスを利用するのも一つの方法です。
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よくある質問
- 蟻道や羽アリを見つけたら、まず何をすればよいですか?
-
その場で殺虫剤をまいてしまうと、被害の範囲や侵入経路が分かりにくくなることがあります。
まずは見つけた場所と日時を記録し、可能であれば写真を撮っておきます。
そのうえで、複数の業者に床下点検を依頼し、状況を確認してもらうことをおすすめします。 - シロアリ対策は何年おきに行えばよいですか?
-
日本しろあり対策協会の防除施工標準仕様書では、5年を目途に再処理を行うことが目安として示されています。
使用する薬剤は環境への配慮から一定期間で効果が薄れるよう設計されているため、施工から年数が経っている場合は、効果が続いているかを点検で確認しておくと安心です。 - 新築住宅でもシロアリ対策は必要ですか?
-
建築基準法施行令第49条第2項により、地面から1メートル以内の柱・筋かい・土台には防腐措置が定められています。
必要に応じて防蟻の措置を講じることもあわせて定められています。
そのため新築時点でも一定の配慮がされています。
ただし薬剤の効果には期限があるため、年数の経過とともに点検・再処理の要否を確認する必要があります。 - シロアリ対策の費用相場はどれくらいですか?
-
シロアリ対策は工法の組み合わせや床下の状態によって内容が異なり、外壁塗装や屋根修理のような統一的な公的相場データは確認できていません。
施工面積、床下の状態、選ぶ工法、被害の進行度合い、保証・再処理の内容といった要因によって金額の幅が大きく変わります。
正確な金額は、複数業者への床下点検・見積もりで確認してください。 - 訪問してきた業者にその場で契約してしまいました。キャンセルできますか?
-
契約の状況によっては、クーリング・オフができる場合があります。
消費者庁の公式情報によると、訪問販売に該当する契約では、法定書面を受け取った日から8日以内であればクーリング・オフが可能です。
不安な場合は、消費者ホットライン(188)から最寄りの消費生活センターに相談してください。
まとめ
シロアリ被害には、蟻道・木部の食痕・空洞音・羽アリの群飛といった、自分でも確認できるサインがあります。
これらのサインは床下や基礎まわりなど見えにくい場所に現れることが多いため、気づいたときにはある程度進行していることもあります。
気になる点があれば、記録を残したうえで専門業者の点検を依頼することが実務的な進め方です。
建築基準法では土台等の木部について防腐・防蟻の措置が定められており、フラット35の中古住宅の技術基準でも同様の項目が確認対象になっています。
対策は土壌処理・木部処理・ベイト工法等の方法があり、協会の標準仕様書では5年を目途に再処理することが目安とされています。
費用は統一的な相場を示すことができないため、施工面積や床下の状態、選ぶ工法といった要因を踏まえたうえで検討する必要があります。
見積もりを依頼する際は、点検結果の説明内容や保証期間、再処理の目安まで確認しておくと、契約後の認識違いを避けやすくなります。
複数の業者へ効率よく点検・見積もりを依頼したい場合は、シロアリ対策に特化した一括見積もりサービスを利用するのも一つの方法です。

