エコキュートとは?結論から解説
結論からいうと、エコキュートとは、空気の熱を利用して電気だけでお湯を沸かす給湯設備のことです。
「エコキュート」という名前は関西電力の登録商標で、電力会社や給湯機メーカー各社が、この仕組みの給湯設備を指す愛称として共通して使っています。
ガス給湯器がガスを燃焼させてお湯を沸かすのに対して、エコキュートはガスを一切使いません。
空気中の熱をヒートポンプという仕組みで集め、その熱を使ってお湯を沸かし、タンクに貯めておく方式です。
「ガスを使わない給湯器」という点が、ガス給湯器との最大の違いになります。
似た名前の「電気温水器」とは仕組みが違うので、そこも一緒に整理していきますね。
似た名前の設備に電気温水器がありますが、こちらは電気ヒーターでお湯を温める方式で、ヒートポンプは使いません。
エコキュートは電気を使う点は電気温水器と同じですが、仕組みそのものが異なります。
エコキュートの仕組み(ヒートポンプ方式)


仕組みを支えているのは、2つの機器です。
屋外に設置する「ヒートポンプユニット」と、お湯を貯めておく「貯湯タンクユニット」で構成されています。
ヒートポンプユニットはエアコンの室外機によく似た外観です。
ヒートポンプという仕組みは、熱を温度の低いところから高いところへ移動させる原理を利用しています。
冷媒と呼ばれる物質を圧縮したり膨張させたりすることで、空気中の熱を集めて温度を上げ、その熱を使って水を温める仕組みです。
集めた熱でお湯を沸かし、貯湯タンクユニットへ送って貯めておく、という流れになります。
三菱電機の公式情報によると、家庭で使われるエネルギーのうち約3割は給湯によるものです。
この給湯にかかるエネルギーを効率化できる点が、エコキュートが省エネ設備として位置づけられている理由になります。
まとめると、エコキュートの流れは3つです。
ヒートポンプユニットで空気の熱を集め、その熱で水を温め、貯湯タンクユニットにお湯を貯めておきます。
ガス給湯器のように使う分だけその場で沸かす瞬間式ではなく、あらかじめ沸かしたお湯をタンクに貯めておく貯湯式である点も、構造上の特徴のひとつです。
この貯湯式という構造は、後述する「お湯切れ」の話にも関わってきます。
エコキュート導入のメリット
導入の最大のメリットは、電気代・光熱費を抑えられる可能性がある点です。
ただし、何と比較して安くなるのかによって数字が変わるため、比較対象を確認しておく必要があります。
三菱電機の公式情報では、ヒーター式の電気温水器と比較した場合、消費電力量を約1/3に削減できるとされています。
これは同じ電気を使う設備同士の比較です。
一方、ダイキン工業の公式試算では、大阪地域・特定の条件のもとで、エコキュートの年間電気料金は43,900円(税込)とされています。
同じ試算でのガス給湯器の年間ガス料金は101,900円(税込)です。
こちらはガス給湯器との比較であり、地域や機種によって金額は変わります。
電気代以外のメリットとしては、ガスを使わない設備であることが挙げられます。
給湯時に火を使わないため、ガス漏れやガス機器特有のトラブルとは無縁です。
また、エコキュートは国の給湯省エネ2026事業における補助金の対象機種のひとつです。
対象機種・補助額・申請の流れについては、別記事「給湯器の補助金」で詳しく解説しています。


エコキュート導入のメリットは、大きく3点に整理できます。
電気温水器やガス給湯器と比べて電気代を抑えられる可能性があること、ガスを使わない設備であること、補助金の対象になりうることです。
ただし、これらのメリットを実感できるかどうかは、今使っている給湯器の種類や、地域・家族構成によっても変わってきます。
「エコキュートはやめとけ」と言われる理由
「エコキュート やめとけ」と検索すると、否定的な意見を目にすることがあります。
ここでは、そう言われる主な理由を4つに整理し、それぞれ事実を確認した上でどう考えればよいかを説明します。
初期費用が高い
エコキュートは、ガス給湯器と比べて初期費用が高くなる傾向があります。
ノーリツの公式情報では、エコキュートの初期費用の目安は約70万円〜とされています。
ガス給湯器と比べると差額は小さくありません。
詳しい費用の内訳や、機種・工事条件による違いについては、別記事で改めて解説する予定です。
ここでは「初期費用はガス給湯器より高くなりやすい」という傾向を押さえておいてください。
なお、ガス給湯器のまま交換する場合の費用感については、別記事「給湯器の交換費用」でも解説しています。


設置スペースが必要
エコキュートは、ヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットという2つの機器で構成されています。
ガス給湯器が壁掛けタイプなどコンパクトに設置できるのに対し、エコキュートは屋外に一定のスペースを確保する必要があります。
敷地に余裕がない住宅や、設置場所の条件が厳しいマンションでは、そもそも設置できない場合もあります。
導入を検討する際は、設置予定場所の広さを事前に確認しておく必要があります。
お湯切れの可能性がある
エコキュートは、あらかじめ沸かしたお湯をタンクに貯めておく貯湯式です。
使う分だけその場で沸かすガス給湯器とは異なり、タンクに貯めたお湯を使い切ると、沸き上がるまで一時的にお湯を使えなくなることがあります。
これが「お湯切れ」と呼ばれる現象です。
稼働音が気になる場合がある
エコキュートは、お湯を沸かす際にヒートポンプユニット(屋外機)が稼働するため、運転音が発生します。
三菱電機の公式Q&Aでは、この点について次のように説明されています。
エコキュートは主に人が寝ている深夜の時間帯に運転することが多く、運転音による不眠が報告されることがあるとされています。
また、この音には低周波音(周波数の低い音)が含まれており、聞こえやすい人と聞こえにくい人がいます。
感じ方には個人差があるとも説明されています。
対策として、三菱電機は寝室や隣家に近い場所への設置を避けることを案内しています。
加えて、据付工事説明書や、お住まいの地域の騒音規制条例に従って設置することも必要です。
具体的な音の大きさ(デシベル数)は機種によって異なります。
気になる場合は、検討している機種のカタログ・仕様書で確認するか、設置予定の環境を業者に見てもらった上で判断するとよいでしょう。
4つとも実際にある課題ですが、事前の確認や容量・設置場所の選び方でリスクを減らせる部分でもありますよ。
以上の4点が、「エコキュートはやめとけ」と言われる主な理由です。
いずれも実際に存在する課題であり、否定はできません。
一方で、初期費用は補助金で一部軽減できる場合があります。
設置スペースやお湯切れ、稼働音については、事前の確認や容量・設置場所の選び方でリスクを減らせる部分でもあります。
自分の住宅の条件や家族構成に照らして、対応できる課題かどうかを見極めることが大切です。
タンク容量の選び方(家族人数の目安)


タンク容量は、家族の人数に合わせて選ぶのが基本です。
三菱電機の公式情報では、家族人数別の目安として次のような容量が案内されています。
| 家族人数 | 目安となるタンク容量 |
|---|---|
| 1〜2人 | 180Lタイプ |
| 2〜4人 | 300L・180Lタイプ |
| 3〜4人 | 370Lタイプ |
| 4〜5人 | 460L(430L)タイプ |
| 5〜7人 | 550Lタイプ |
タンクに貯めるお湯の量の目安(40度換算・冬期)も示されています。
浴槽の湯はり1回で180L、シャワーは家族人数に応じて160L〜560L、洗面・台所で70L〜245Lです。
浴槽の大きさやシャワーの使い方によって実際の使用量は変わるため、あくまで目安として捉えてください。
前の見出しで触れたお湯切れを避けるためには、家族人数に対してぎりぎりの容量ではなく、ややゆとりのある容量を選ぶ考え方が基本になります。
特に、家族全員がまとまった時間帯にシャワーを使う家庭や、追い焚きより浴槽に毎回お湯を張ることが多い家庭では、余裕を持った容量を検討するとよいでしょう。
なお、ここで紹介した容量帯はメーカーによって多少異なります。
実際に導入する際は、検討している機種のカタログで、自分の家族構成に合う容量を確認してください。
賃貸・持ち家で設置できるかどうかの違い
設置できるかどうかは、持ち家か賃貸かによって事情が異なります。
持ち家(戸建て)の場合、主な課題は前の見出しで触れた設置スペースの確保です。
ヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットの両方を置けるスペースがあるかどうかを、事前に確認しておく必要があります。
賃貸住宅や集合住宅にお住まいの場合は、入居者が自分の判断で給湯設備を交換・設置できないのが一般的です。
給湯器の種類は建物のオーナーや管理組合が決めていることが多く、入居者側でエコキュートへの交換を希望する場合は、まず管理会社やオーナーに相談する必要があります。
マンションによっては、そもそもエコキュートの設置スペースが確保されていない場合もあります。
自分の住まいがどちらに当てはまるかを踏まえて、次のステップ(業者への相談や、管理会社への確認)を考えるとよいでしょう。
ガス給湯器とエコキュートの初期費用・ランニングコストをさらに詳しく比較したい方は、別記事「給湯器とエコキュートどっちがいい?」もあわせてご確認ください。


よくある質問
- エコキュートとエコジョーズは何が違うの?
-
エコキュートとエコジョーズは、どちらも省エネ性能の高い給湯設備ですが、エネルギー源そのものが異なります。
エコキュートは電気とヒートポンプ方式でお湯を沸かす設備です。
一方、エコジョーズはガス給湯器の一種で、排気熱を再利用することで効率を高めたタイプです。
ガスを使わないエコキュートと、ガスを使うエコジョーズという、根本的に仕組みが異なる2つの設備だと考えてください。 - 停電のときはどうなるの?
-
三菱電機・コロナなど複数メーカーの公式情報によると、停電時でも、貯湯タンクにお湯が残っていれば給湯自体は可能です。
ただし、停電中は温度調整ができないため、いつもの設定温度とは異なる温度のお湯が出ることがあります。
断水した場合は、給水配管専用止水栓を閉じる操作が必要になるとされています。
非常用の取水栓からタンク内のお湯を直接取り出せる機種もありますが、タンク内のお湯は高温になっている場合があるため、取り出す際はやけどに注意してください。
停電・断水時の具体的な操作方法は機種によって異なるため、お使いの機種の取扱説明書を確認しておくと安心です。 - 寒い地域でも使えるの?
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使えますが、地域の気温に合った機種を選ぶ必要があります。
三菱電機の公式情報では、寒冷地仕様の機種は外気温マイナス25度での高効率運転に対応しているとされています。
ただし、マイナス25度を下回る地域では使用できません。
マイナス15度を下回る地域では、貯湯タンクユニットを屋内に設置する必要があるとされています。
一般地向けの機種をそのまま寒冷地で使うことは想定されていないため、寒い地域にお住まいの場合は、寒冷地仕様の機種の中から検討する必要があります。 - 「やめとけ」と言われても、導入して後悔しにくいのはどんな人?
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これまで見てきた「やめとけ」と言われる理由は、初期費用・設置スペース・お湯切れ・稼働音の4つでした。
これを踏まえると、条件が揃った住宅ほど、課題になりやすい点をあらかじめクリアしやすいと言えます。
具体的には、設置スペースに余裕があること、家族人数に対してゆとりのあるタンク容量を選べること、寝室や隣家から離れた場所に設置できることの3つです。
逆に、敷地が狭い、隣家との距離が近いといった条件が重なる場合は注意が必要です。
家族人数に対してタンク容量がぎりぎりになりそうな場合も同様です。
事前に業者へ相談し、設置環境をよく確認してから検討するとよいでしょう。

